元トレーラードライバーが、運送会社の日報をデジタル化しちゃいました

はじめまして、池田颯(いけだ はやて)と申します。

佐賀県神崎郡吉野ヶ里町で、「よかよかワークス」という小さな業務改善屋をやっています。やっていることは、運送業向けの日報・運行管理システムの提供。スマホやタブレットで完結する仕組みです。

…と、こう書くと「IT系の人なのかな?」と思われるかもしれません。

違います。

僕は、つい最近まで低床幅広トレーラーで重機を運んでいた、ただのドライバーでした。

毎日現場でクタクタになって帰ってきて、夜な夜な手書きの日報を書いてた人間です。それが今、なぜか紙の日報を消す側に回っています。

なぜそうなったのか。今日はその話を、長くなりますが、書こうと思います。


「〇〇さんに聞いて」と言われた、新人時代

僕がドライバーになりたての頃の話です。

重機回送って、毎日違う現場に行きます。リース屋さん、建設現場、解体現場、いろんな場所。そして、それぞれに「ここはこうしないとダメ」という暗黙のルールがある。

たとえば。

  • 「そのリース屋、バックで入ってくれ」(中が狭くてUターンできない)
  • 「この道、大型車両通行禁止だから、別ルートで」
  • 「あの交差点、絶対右折ね。左折だと曲がりきれない」
  • 「あのリース屋さん、入る前に絶対電話しないとダメ。突撃したらOOさん(オペレーター)に怒られる」
  • 「通り(道路側)からじゃなくて、裏から入って、お尻から押し込んで」

これ、全部知らないと事故になります。 物理的に車両がぶつかる、近隣住民から苦情が入る、最悪は人身事故。冗談抜きで、命に関わる情報です。

で、新人の僕は何も知らない。だから事務所に電話するわけです。

「もしもし、〇〇建設の現場、どっちから入ったらいいですかね?」

事務所の人「うーん、私わかんないわ。〇〇さん(ベテラン)に聞いて」

…まあ、そうなるわけです。事務員さんが現場の細かい入り方を知ってるわけがない。

仕方なく、ベテラン先輩に電話する。

先輩は当然、運転中。電話に出られない。

折り返しを待つ。来ない。もう一回かける。出ない。

そうこうしてるうちに、僕も次の現場に着いちゃう。

ようやくつながった頃には、**「あぁ、もう着いた?じゃあ通りからじゃダメだから、一回バックで戻って」**みたいなアドバイスをもらって、

現場で冷や汗かきながらUターン。後ろの軽自動車にクラクション鳴らされる。

これ、新人時代の僕、月に40〜50回はやってました。 1日に10回かけた日もある。


「あそこは右見て行った方がいいよ、他にも注意せないかんよ」

3〜6ヶ月経つと、今度は逆です。

新人の子から、僕に電話がかかってくる。

「池田さん、〇〇の現場、どこから入ったらいいですか?」

僕は運転中。荷下ろし中。お客さんと話してる最中。

それでも電話を取る。だって新人時代の自分が、まさに同じ思いをしたから。

「あそこはなぁ、右見て行った方がいいよ。目の前交差点は左折はキツいから、一個先で曲がってきな。あと電話、現場の〇〇さんに先に電話入れときな。」

これを、毎日、何回も繰り返す。

ふと思いました。

「これ、スマホに全部入っとけば、こんなに電話しなくていいやん」

ベテランの頭の中にある暗黙知。これを引っ張り出して、全員のスマホに入れる仕組みがあれば、新人もベテランも、誰も電話しなくていい。

たぶんこれが、僕が「システム作ろう」と思った最初の瞬間でした。


事務員は、毎日3時間転記していた

会社の事務所にいた、事務員の方の話をします。

明るくて、優しくて、よく話しかけてくれる人でした。

その方は、毎日3時間、僕らドライバーが書いた紙の日報をExcelに転記していたんです。

毎日。3時間。

ドライバーが現場で書く日報って、走り書きです。疲れてるし、急いでるし、字も汚くなる。それを、事務員さんが一字一字読み解いて、Excelに打ち込む。

「これ、何て書いとっと?読めん」

たまにそう聞かれて、僕も「えーっと、〇〇です」と答える。自分で書いた字が読めなくて、お互い苦笑い。

ひどい時は、結局ドライバーに電話して「この字、何て書いてるの?」と確認することもありました。運転中のドライバーに、字の確認電話。

僕、それを見ながらいつも思ってたんです。

これ、スマホで入力したら一発じゃね?

スマホで入力すれば、字が汚いも何もない。読めない問題は永遠になくなる。電話確認も要らない。おばちゃんの3時間も、丸ごと別のことに使える。

でも、当時の僕にはどうすることもできなかった。ただ毎日、おばちゃんが転記してる姿を見ながら、ドライバーやってました。


月末、運転中にかかってくる「実車距離なんぼ?」

運送業の月末締め日。これ、毎月の地獄です。

理由は、請求書を作るため。ドライバーが運んだ距離(実車距離=荷物を積んだ地点から下ろした地点までの実際の運賃発生区間)を集計しないといけない。

紙の日報には書いてあります。でも、急いで集計してると、読めなかったり、書き漏れがあったり、計算が合わなかったりする上に、なんと言ってもドライバーが帰ってこないと確認できない。。。

そうなると、結局事務所からドライバーに電話。

「〇〇さん、今の仕事、実車距離なんぼだった?」

これがね、運転中にかかってくる。荷下ろし中にかかってくる。お客さんと話してる最中にかかってくる。

一回出て、「すいません、現場なんで折り返します」と言って切る。

折り返した頃には、事務所の電話が他のドライバーで埋まってる。出ない。

これを、月末の数日間、永遠に繰り返す。

ドライバー側も「もうちょっと何とかならんのかな」と思ってました。事務所側もたぶん同じです。みんな、紙という仕組みのせいで疲弊してた。


それで、作りました

長くなりましたが、こういう体験が積み重なって、僕は今、システムを作っています。

具体的に何ができるか、5つ書きます。

① ドライバーがスマホで日報入力

紙はもう要りません。現場で、その場で、スマホで入力。

「行った場所」はGPSボタン1タップで現在地を記録。時刻も同時に現時刻を記録。住所も自動入力。荷主名やよく使う項目はプルダウン式。字の汚さも、書き忘れも、永遠にゼロです。

② GPS位置情報をチーム全員で共有

朝、Aさんが運び込んだ重機を、夕方Bさんが引き上げに行く。そんな時、Aさんに電話で「どこに置いた?」と聞かなくていい。 スマホで地図を見れば一発で場所がわかる。GPSも住所も、全部入ってます。

③ 絞り込み検索で過去のデータを一発参照

重機回送って、**「2ヶ月前にも行ったあの現場、どっから入ったっけ?」**ってなることが多々あります。1年前の積荷、誰がどのトラックで行ったか、荷主は誰だったか——全部、スマホで一発検索。 記憶頼みは、もう必要ありません。

④ 運転日報・整備記録・点呼記録簿が、自動で生成される

ドライバーが普通に使ってるだけで、監査で必要な3点セットの書類が自動で揃います。 監査前に徹夜して書類を整える必要、もうないです。記入漏れも、提出忘れも、紙の紛失も、全部消えます。

⑤ 請求書が、ボタン1つで自動生成

期間を選んで「PDF出力」ボタンを押すだけ。月末の電話地獄、おしまいです。

⑥「荷主図鑑」機能でベテランの知見を残す

よく行く土場や、リース屋さんを登録し、住所や電話番号はもちろん、注意事項も記録可能。ベテランに依存しない会社作りを目指せます。

おまけ:車検アラート機能で「あれ、車検切れそう…」のヒューマンエラーも防げます。


それでも「うちは困ってない」と言う社長さんへ

営業に行くと、よく言われるんです。

「うちは別に困ってないよ」

…正直、この言葉に、ずっと何とも言えない気持ちを抱えています。

もちろん、困ってる会社なんていないと思います。困ってたら事務員さんを増やすなり、何かしら対策してるはず。だから「困ってない」のは事実なんでしょう。

でも、僕が伝えたいのは、「困るか、困らないか」じゃないんです。

「より良くなるか、現状か」

これが業務改善の本質だと、僕は思っています。

競合はどんどん紙の日報をやめ、利益を上げていきます。早いか遅いかの違い。今のうちに準備しておけば、いざという時に慌てずに済む。

たとえば、ある日突然、事務員さんが「明日から来れません」となったら、どうしますか?

転記、誰がやりますか?

事務員さんがいる今こそ、仕組みを作っておくチャンスです。仕組みさえあれば、事務員さんは転記から解放されて、もっと別のことに時間を使える。

僕、事務員さんの仕事を奪いたいわけじゃないんです。むしろ逆。

今の会社、SNSやってますか? ホームページ、ちゃんと更新してますか? 求人、出してますか?

事務員さんが転記から解放されたら、そういうことに時間を使えるようになる。会社の看板を磨く時間ができる。

「人を切るためのデジタル化」じゃない。「人をもっと活かすためのデジタル化」をやりたいんです。


これからやりたいこと

正直に言うと、これだけじゃ足りないと思っています。

たとえば、荷主さんからメールで来る情報——積込先、荷下ろし場所、エンドユーザー様の連絡先、地図。これ、確認漏れがめちゃくちゃ多い。

僕の経験上、ここでミスると現場で「あれ?聞いてた話と違う」となって、ドライバーが半日待たされたりする。

この辺、AIを使えば自動で読み取って整理できるんです。

新しいもの好きで、常に情報をキャッチしてる人間なので、これからもどんどん仕組みをアップデートしていきます。


最後に

長い記事を、最後まで読んでくれてありがとうございます。

僕は、現場の苦しみを知ってる人間です。だからこそ、現場の邪魔になる仕組みは絶対に作らないと決めています。

「うちみたいなアナログな会社、IT入れて大丈夫かな…」

むしろアナログな会社こそ、相談してほしいです。 難しいIT用語は使いません。元ドライバーの言葉で、現場目線で、一緒に考えます。

ご相談は完全無料です。まずは「一番しんどいこと」を聞かせてください。

▶ よかよかワークス公式サイト ▶ お問い合わせはこちら


このnoteは「元トレーラードライバーが、運送業界をデジタル化する話」というシリーズで連載していきます。

それでは、また。


🚛 池田 颯(いけだ はやて) 業務改善よかよか/よかよかワークス代表 元・低床幅広トレーラードライバー 佐賀県神崎郡吉野ヶ里町

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